悲しいかな、実際の食生活となると、多くの人はその常識を守れない。
いま日本人が食べている野菜の量は、厚生労働省の勧める1日350グラム以上に対して、平均277グラム(緑黄色野菜は推奨値120グラム以上に対して約94グラム)と、推奨値を大きく割っている。
1日に必要とされる食物繊維やミネラルがそうとう不足している。
野菜をもっと食べたほうがいいことは誰もが知っているのに、なかなか実行されないのだ。
1日350グラム以上といっても、それを毎日きちんきちんと食べるのはたいへんだ。
1日、3度3度の料理にたっぷり時間をかけられるめぐまれた環境の人なら別だが、夫婦共働きで朝から晩まで時間に追われていたら、昼食はもちろんのこと、朝食、夕食にたっぷりと野菜を使った食事をとるなんて、ほんとうのところちょっと無理なのではなかろうか。
「野菜をもっと食べないと病気になりますよ。
ガンになりますよ」と、おどかし半分で諭すのもいいが、実生活上そうしたくてもできない人には少々残酷ではないか。
21世紀の国民の健康を守るためのせっかくの指針も、しょせんお役人の作文、実行されない養生訓に終わってしまっている。
生野菜信仰が野菜の摂取量を少なくするそれでも肉食中心の欧米人にくらべたら、まだ日本人は野菜を食べているはずと思う人もあるだろう。
しかし、それは勘ちがいだ。
たとえばイタリア人をみるといい。
彼らは年間180キログラム、1日にすると約500グラムの野菜を食べている。
イタリアのお隣のギリシアにいたっては、なんと年間230キログラムだ。
私たちはといえば100キログラムと、その半分にもならない。
もともと野菜好きなはずの日本人なのに、なぜ野菜をもっと食べないのだろう。
それは野菜の食べ方がまちがっているからだ。
本来、野菜はとり方しだいでいくらでも食べられる。
ところが、いまの日本人は、おいしく、かつたくさん野菜を食べる方法を忘れてしまった。
だから、いくら厚生労働省が「野菜をとりなさいよ」と勧めても、野菜の摂取量は依然として増えないのだ。
私はその理由の1つに、生野菜信仰、ビタミンC信仰があると考えている。
日本では戦後長らく生野菜サラダがもてはやされてきた。
なるほど、皿いっぱいに盛られた新鮮な生野菜には、ビタミンCがたっぷりで食物繊維もじゅうぶんと、いいことずくめのように思える。
とくに若い女性の間では、生野菜サラダはダイエットにもいいということでモテモテだ。
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